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10新しい医学の結論
電子頭脳の出現
ハーバード大学のキャノン博士は『身体の知恵』(一九三二年)の著書で、精神と身体との仂き合いを実験的に示した有名な生理学者であるが、第二次大戦中に学者の協力がとなえられ、キャノンの下には、数学・物理・生理など各分野のエキスパートが集まって、研究し話し合っていた。その中に、メキシコの生理学者ローゼンブリュースと数学者ウィーナーとがいた。
二人は、よく話し合っていたが、神経系の仂きは、通信の電子回路とよく似ていることがわかった。そして神経系の結びつきを″真空管と針金″で置きかえて、いろいろ工夫してみたところ、この真空管の機械は、人の頭脳に似た仂きをするのである。たとえば、自動交換電話では、ダイヤルを廻したとき発信される電流の断続を数え、空いた中継線をさがし、相手が話し中であるかないかを判断したり、いろんな複雑な仕事をする。これによって、サンフランシスコからニューヨークまで電話をかけるのに一分くらいで相手をよべる。欧州の中でも同様である。
このような機械は、記憶・計算・捜査・総合判断などの機能を持ち、人の脳に酷似していると考えられる。この自動交換機の進歩した形の代表は、いわゆる電子計算機である。この機械は、頭のよい人が一年かかってやるような面倒な高等数学の計算を、わずか数分間にやってしまう。そして、およそ人間の頭脳のおこなう論理的な思考をすべて行うことができる。″電子頭脳″といい″人工頭脳″とよばれるのがこれである。