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10新しい医学の結論
オートメイションの危機
このような″考える″機能が行動的な機械に与えられると、いわゆる″オートメイション″がおこなわれ、生産はすべて機械化され、人手を要しないことになる。それは、未来における可能性だと考えるかも知れないが、すでに一部分は実際にもちいられている。
ニューョークの或る製薬会社では十台に一台の割で、電子頭脳による無人操作の流れ作業がおこなわれていた。設備に金はかかるが、人間よりも正確に忠実に、文句もいわずに、生産を進めてゆく。これが進展すれば、もちろん、大エネルギーの絶対量が確保される限り、すべての人は、生活の保障がえられるはずである。こうして人々は、科学や芸術の創造的な仕事に没頭できるようになるであろうか。
だが、現在のままでは、第二の産業革命の危機へ向かう以外にはなさそうだ。電子頭脳は原水爆にまさるとも劣らぬ″人類絶滅の兇器″であるといわれるゆえんである。
一八四八年マルクスの共産党宣言がなされて以来、百年あまり、人類の筋肉による機械的な仕事は、石炭の分子エネルギーによって、とって代られ、血みどろな闘争を展開してきた。だがこんどは、電子顛脳によるオートメイションによって、人間の最高機能が追っばらわれようとしているのだ。その危機は、まさに致命的であり、刻々に迫りつつあるのである。