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長生きの国を行く | ||
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05自由にして楽しい男女関係
カーであいびき
日本では腕を組んで歩く男女が多いが、本場と考えられているアメリカやカナダで町を行く人に腕を組んだ姿はあまり見かけない。しかし昔の日本のように、男女別々、人目をはばかっているわけでもない。町を歩くのはビジネスがあってのこと。仕事があり余って人手が少ないので、腕など組んでいてはお互に足手まとい。また忙しいときはセックスも減退してしますからだ「小人閑居し不善をなす」暇でブラブラしていると、あらぬ欲望も沸いてくる。
ところでカナダには「ホワイト・スポット」という、軽快な明るい一階建、周りには広い駐車場のあるレストランがある。どの都市にも目抜きの所にあり、駐車した車中でコーヒーやお菓子、食事もできる。看板には、「ドライブ・イン・メニュー」と大きく書いてあり、その日のスペシャル献立が紙に書いて貼ってある。安くてうまいのではやっている。
注文すると細長い金属製の板に注文品をのせ、日本のソバ屋の出前と同じようにその板をいくつも重ねて肩に高くかついで持って来る。ここでの食事や喫茶はテ-ブルにつく改まったときとは違い、簡便で安直で、何とも快適だ。
どの車もたいていボーイ・フレンドやガール・フレンドをつれている。どちらが″主導権″を持っているかは、ハンドルを握るかどうかでわかる。男女半々ぐらい。ここでは大学生でも一人前でみな車を持っているから自分のでさそいだすのだ。若い連中は必ずといってよいくらい頭と頭をくっつけ合っていて、ちょっと見ると一人だとも見える。朗らかな話声が交わされ、見ていても長生きしそうだ。
ホワイト・スポットの高潮時は大抵店が閉まり、劇揚がはねたあと、十時から夜中の一時二時ごろまで。これは若い者の特権だそうで年寄りやロマンス・グレイなどというめはあまり見かけない。だれでも仂けば必要な金はもうけられる。髪の毛が白や灰色の相手を選ぶ必要もないわけだ。
若い者は若い者同士、年寄り同士、お互に″話の合った″者が人生を楽しんでいる。これが″人間の自然″だと思う。
こんな工合で、お互に車をとばして、どこの森かげへもすぐに行けるし、それをとがめる者もいないのだから、日本のように皇居前広場や温泉マークも用はなくなる。またロマンス・グレイなどという変態もおこらない。